コンセプトを含むキャッチコピー(コンセプトキャッチ)の作り方とポイント 企業・ブランド編
刺さるキャッチコピーを作ってください!
そういう要望、時々頂くんですが…。キャッチコピーは妄想やイメージで作るものではありません。結構泥臭く考えて作っているんですよ。知っておいてもらえるとうれしいです。
コンセプトキャッチの作り方
キャッチコピーのなかでも、メッセージ性が強く、WEBサイトのトップページにバチっと入れるキャッチコピー。これを私はコンセプトキャッチと呼んでいます。
会社や店舗、ブランドなどの紹介ページの冒頭にくるキャッチコピーのことで、俯瞰した視点で強いメッセージを放ち、ブランドの顔とも言えるものです。
ここでは、コンセプトキャッチの作り方をまとめましたので、参考にしてみてください。
まずはコンセプトを把握しよう
会社やブランドのコンセプトをまずは書き出します。
すべてはコンセプトを作ってからなので、コンセプトがない場合はコンセプトを作るところから始めましょう。コンセプト開発についてまだ理解していない方は「コンセプト開発」の記事を読んでからスタートしましょう。
コンセプトは端的にまとめた文章になっています。
それを具体的にイメージしながら、企業やブランドのあり方を考えてみましょう。
掲載する媒体の目的とターゲットを知ろう
次に媒体の目的を理解しましょう。
WEBサイトなら、何のためのサイトなのか。パンフレットなら何に使うためのものなのかを理解しておく必要があります。
例えば
・新ブランドを知ってもらうためのLP
・来年の新卒向け採用サイト
といった具合に、ゴールを意識しておくことが大切です。
制作する媒体にコンセプトをつけよう
最初のコンセプトは会社やブランドのコンセプトであり、サイトやパンフレットのコンセプトではありません。
ここでは制作する媒体にもコンセプトをつけてください。
それによって、制作物の最終目的(ゴール)が明確になるからです。
制作は編集担当者やライター、デザイナー、カメラマンなどクリエイターの協業で成り立ちます。
制作物にコンセプトがあると、クリエイターが皆同じ方向を見ることができるので、仕事がブレずに進められるというメリットがあります。
ボディコピーを先に書いてキャッチコピーを書こう
媒体の目的とコンセプトを理解したら、ターゲットに向けて手紙を書くようにメッセージを書きましょう。
このメッセージはボディコピーと言われる、キャッチコピーの下にくる文章になります。
そして、ボディコピーが書けたら、タイトルをつけるようにキャッチコピーを考えましょう。
コンセプト把握→目的・ターゲット把握→媒体コンセプト開発→ボディコピー制作→キャッチコピー制作
という流れです。
この手順を踏むことで、突飛な言葉や雰囲気だけの意味不明な文章ではなくなります。
コンセプトキャッチ3つのポイント
コンセプトキャッチは、以下の3つのポイントを意識してつくりましょう。
- 伝えるべきメッセージは一つに絞ろう
- タグラインを載せるのもおすすめ
- 心に刺さるコピーでファンを獲得しよう
では見ていきましょう!
伝えるべきメッセージは一つに絞ろう
コンセプトキャッチで訴求するメッセージは必ずひとつです。
何のために作るのかを考えればひとつになるはずです。
例えば、会社のウェブサイトのトップページには、会社のビジョンやコンセプトが反映されたコピーになりますし、同じ会社でも社員を募集するためのリクルートページであれば、そのトップページに付くキャッチコピーは求職者向けのメッセージになり、全く違うコピーになります。
ターゲットが違うから当然ですよね。
企業メッセージを誰にどう伝えるのか
採用に際しどういう人材を獲得するためにどういうコピーがふさわしいのか
ブランドコンセプトを誰にどう伝えるか
といった視点をもって
目的に応じてコンセプトキャッチを考えましょう。
同じ商品やサービスでも、媒体やターゲットによってキャッチコピー(コンセプトキャッチ)は変わります。
タグラインを載せるのもおすすめ
タグラインとは会社のビジョンや、ブランドの思いを端的に表現したもの。
ブランドメッセージと言ったりします。
会社がお客様に対して、社会に対して、何をもたらすかといった強い想いを込めたフレーズです。
キャッチコピーによく似ていると思われていますが、タグラインは商品や会社、ブランドの核になるもので、リブランディング(経営や訴求の方向性を変えること)をしない限り、変わることはありません。
タグラインがあることで、企業やブランドはアイデンティティを確立し、他社との差別化が図れます。
私が運営しているセルフ写真館は「時空を旅する」というタグラインを作りました。数多あるセルフ写真館のなかで差別化する際、「時間も空間も超越した場所で旅をするように撮影を楽しんでもらいたい。そして、切り取った瞬間がドラマティックに残ってほしい」というブランドステートメントを考えた結果、タグラインが生まれたのです。
このように、タグラインは企業やブランドの根幹に関わるため、コンセプトがなくては作ることはできません。
だから、コンセプトを抽出するブランディングがまずありきなのです。
企業のこと、ブランドのこと、それらをしっかりと見つめ直し、掘り下げ、未来を考えていくことで生まれてくる「タグライン」は、とても重要なコピーです。
心に刺さるコピーでファンを獲得しよう
いいコンセプトキャッチができると、その言葉が読み手の心に残り続けるといった大きな効果があります。
例えば私が好きなキャッチコピーの1つに
「仕事を聞かれて、会社名で答えるような奴には、負けない」というコピーがあります。
これは1998年に作られたアルバイト情報誌「ガテン」のキャッチコピー。
今ではガテン系という言葉もあまり聞かなくなりましたが、ブルーカラーの仕事を指しています。
就職とは、職に就くのであって、会社にくっ付くのではない!
という強いメッセージを感じましたし、就職超氷河期世代の私にとって、この言葉は強く響きました。
もうひとつ
「感動だけが人の心を撃ち抜ける」(アミューズ)2022年
このコピー見たときも心が震えました。
世界が戦争やテロで混沌としており、暗いニュースに覆われていたとき、目に止まったこのコピーには涙が出そうになりました。
武力や兵器で無理やり人を変えようとしても、反発と対立が生まれるだけ。
真の意味で人の心を動かす(打ち抜く)のは感動だけなのだというコピーは時代背景もあって、じつにその通りだ!と膝を打ったものでした。
このように、心を鷲掴みにするキャッチコピーは、企業やブランドのイメージも引き上げてくれます。
あなたもこんな経験ありませんか?
「このコピーを書いた人の考え方好き」→だから「この会社も好き」
という流れになったこと。
反対に、不快なコピーを見ると
「このコピーを採用するなんて嫌な会社」→だから「この会社嫌い」
というケースもありますよね。
共感の時代になっている今、コンセプトキャッチは重要な役割を担っています。
いかがでしたか?コンセプトキャッチも手順を知ればコピーライターでなくても書けるんです!ぜひ挑戦してみてくださいね!
このブログでは初心者の方にも分かりやすいように、キャッチコピーとコンセプトキャッチに分け、キャッチコピーは商品やサービスを訴求する方法として、コンセプトキャッチは企業やブランドを象徴する言葉として書きました。しかし、この境界線は曖昧で、行ったり来たりしながら作っています。みなさんもあまり概念に囚われず、作ってみてください。素敵なコピーができたら、教えてくださいね!